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この街で本格ドイツパンを

移住者インタビューVol.6 地域とのつながりを大切にパンを作り続ける

2020.03.30

山本毅・パン職人
2014年移住
神奈川県出身
山本有里
2016年移住
静岡県出身

東武スカイツリーライン 姫宮駅から歩いて10分ほど。古利根川のほど近くに本格ドイツパンのお店「アムフルス」があります。
2014年に横浜から店舗を移転して5年。ドイツ国家認定・製パンマイスターであるオーナーシェフの高い技術に裏打ちされたパンと
お店を切り盛りする奥さんの明るい人柄でたくさんのお客様に愛される、地元になくてはならないパン屋さんになりました。
この町への定住を決意し、賃貸住宅から持ち家の
新居へ引っ越しされたばかりの山本さんにお話を伺いました。


川につながりを感じて

川の写真

私がまだ独身だった9年前に、地元横浜の綱島に「アムフルス」をオープンしました。
「アムフルス」とはドイツ語で「川のほとり」という意味です。
店が川の近くにあったのでそう名付けました。

開店から3年経ったころ、知り合いに宮代町の店舗を紹介されました。私は都会で育ちましたが、
ドイツの田舎町で修業していたので、田舎ののんびりした空気が好きでしたし、
下見に来た時に近くに川が流れていたので、何か縁を感じて宮代町に引っ越し、店を移転することにしました。

宮代町に来て初めての5月のこと、仕事を終えて車で家に帰る途中に何とも言えない幻想的な光景を見ました。
暗い景色の中、田植えが終わったばかりの田んぼの水面に、走り行く東武スカイツリーラインの
列車が映り込んで、まるで映画の中のようでした。不思議な世界に惹き込まれそうで何度見てもいいなと思います。

妻とはこの店が縁で出逢いました

アムフルス店頭で接客する山本さん

妻とは、宮代町に移転してから採用した製造部門のスタッフの紹介で知り合いました。彼女はパンの食べ歩きが好きで、
パン作りにも興味があったようで、時々そのスタッフの出勤日に合わせてわざわざ静岡から製造の手伝いに来てくれるようになりました。
彼女も、綺麗な水田や夕暮れのグラデーションに染まった空の美しさに魅了され、この町をとても気に入ったそうです。 ​​

店頭のPOP

店内のPOPはスタッフさんが作ってくれたものばかり

店頭に並ぶパンパンを焼いている写真

結婚し、子どもが生まれてからも、妻は娘をおんぶしながら店に出てくれました。
私も妻も実家が遠く頼れる人がいない中、沢山のお客様が「何でも聞いて!」と妻の育児相談に乗ってくださり、
娘のことも孫の様に可愛いがってくださって、妻は「お母さんが沢山いるみたい!」と、とても心強かったそうです。

保育園に入った今でも娘のお誕生日にプレゼントをくださったり、野菜や果物を持ってきてくださったりと
いつも私達を気に掛けてくださいます。特に2019年12月の開店5周年記念のイベントの際のことは忘れられません。

沢山のお客様が駆け付けてくださって、お祝いのお花まで頂きました。その温かさが心地良く、
それまで自宅は賃貸暮らしでしたが、ここに定住しようと妻と決意し、お店の近くに家を買いました。

手間暇を惜しまず、愛情を込めて製造しています

私は高校卒業後、手に職を付けたいと思いパン職人の道へ進みました。そこで「粉と水と塩だけ」で作る
ドイツパンの奥深さに惹かれ、本格的に学びたいと思いドイツへ渡りました。ドイツでは語学研修から始まり、
まずは国家資格「ゲゼレ」を目指しました。ゲゼレとは日本語でいう「職人」にあたり、
私は職業訓練学校に通いながら実習先で2年半ほど研修し国家試験に合格しました。

オーガニック農場「ヘルマンスドルフ」の写真 ドイツで働いていた時の山本さん

「ゲゼレ」を取得後、ドイツ・ミュンヘン近郊のオーガニック農場「ヘルマンスドルフ」のパン部門に入社しました。
ここでは約4年半、主任として製パンに従事し、またドイツケーキの製造にも携わりました。
日本には「マイスター」の資格を取得してから帰国したかったので、「ヘルマンスドルフ」を退社し、
製パン理論 ・経営学 ・教育学 ・法律学の勉強をして試験に臨み、念願のドイツ国家認定である製パンマイスターの資格を取得しました。​

パンを作る写真 パンを作る写真
製パンマイスターの資格

製パンマイスターの資格は現地の方でも取得が難しいという

ドイツパンは「硬くて、酸っぱい。。。」というイメージを持っている方も多いと思いますが、
厳選した素材を使い伝統的な製法で作ったドイツパンは本当に美味しいので、
マイスターとしての資格と経験を活かし、日本の方にも食べやすいように調整しながら作っています。
また、オーガニックのライ麦を使用しているので赤ちゃんの離乳食としても安心して食べて頂けます。

ライ麦を石臼で挽く写真

ドイツパンはその日に使用する分のライ麦を石臼で挽いて製造する

ライ麦の写真 ライ麦のパッケージの写真

お店にはドイツパン以外にも日本で定番のあんぱんや豆パン、
地元”宮代町”の野菜をたっぷり使用した総菜パンなども並んでいます。
いろいろなパンを楽しんでもらいながら、ドイツパンの美味しさも知ってもらえたらと思っています。

地域の皆さんとともに

パンを作る親子の写真

独身時代は殺風景な店だった「アムフルス」ですが、妻が関わってくれるようになってから
ラッピングを改善してくれたりディスプレイを工夫してくれて店が華やかになりました。
またいろいろなイベントを企画して私の〝ドイツパンを知ってもらいたい″という思いを後押ししてくれています。

毎月開催している「おたんじょうかい」は、一升(いっしょう)の重さのドイツパンを
1歳のお子さんに背負わせるイベントで、宮代町に限らずいろいろな地域からお客様が来てくださり、
アムフルスで人生初めてのお誕生日をご家族と共にお祝いさせて頂けることを嬉しく思います。
年に数回開催している「パン教室」では沢山の子どもたちと出会えてとても楽しいです。

パン教室に参加する親子 一升のドイツパンを背負う子ども

また〝宮代つながりイベント和e輪e(わいわい)″にも協力しています。絵本に出てくる動物のパンを親子で作ってみたり、
大人向けに、ドイツパンの食べ方やビールとワインとの組み合わせを紹介するような講座も開催しています。

ブレッツェルの写真

ブレッツェルはレンジで温めてバターを塗って食べると美味しい!

ブレッツェルを作る様子

宮代町の良さを沢山の方に知って頂きたいと思い、地元の農家さんにいろいろ教えてもらいながら
季節ごとの新商品を販売しています。季節が変わる頃「次はどの野菜や果物を使おうかな」
と考えたり、農家さんとお話しさせていただくことも楽しい仕事の一つです。
これからも地域のみなさんとのご縁を大切にして、ここで美味しいパンを作り続けたいと思います。

宮代町で手に入れたものは?

ご夫婦の写真

お客様に頂いたお祝の花と一緒に


【編集後記】

パン作りは秒単位で変化する発酵を管理しながら進める繊細な作業で、取材に訪れた日も約55種類のパンを店頭に並べるために山本さんは黙々と作業を続けていらっしゃいました。定休日は週2日ありますが、営業前日は休みと言っても翌日の仕込みをしているので実際には1日しかお休みがないそうです。そのお休みにも事務作業をしたり、合羽橋へ道具を買いに出掛けたりとご夫婦で仕事をしているのだとか。夏休みを長めにとって静岡と横浜の実家に帰省するのが山本さんご家族の唯一のお休みのようです。娘さんと散歩したり、近所で遊んだりという普通のことがなかなかできないという山本さん。今回、全力で美味しいパンを作り続ける山本さんの努力と高い意欲に職人の魂を見たように思いました。(よん)
取材日 令和2年3月4日

 

<関連リンク> 

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