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暮らシロ-3 この街から世界へ

暮らし・楽し・みやしろ人ー時計師 牧原大造さん

2018.09.26

牧原大造(だいぞう)・海生子(みおこ)
時計師 東京都出身
2018年に移住

 時計製作工程

 

スマートフォンの普及により、簡単に正確な時刻を知ることができるようになった現代。
腕時計を身に着ける人が少なくなっている一方で、
高価でもこだわりの意匠や、伝統的なメカニズムを楽しめる
機械式腕時計のブームが訪れています。
今回は機械式腕時計を作る時計師・牧原大造さんの工房兼ご自宅に伺いました。

 

 

世界に通用するオンリーワンの時計

菊繋ぎ紋 桜 時計

 

機械式時計は竜頭(リューズ)を手で回転させることによりゼンマイを巻き、
巻かれたゼンマイが元に戻る力を利用して動きます。
時計は時間の精度がもちろん大事なのですが、私が得意としているのは装飾技法です。

 

時計製作風景 彫金用道具

 

金属部分への彫金もそうですが、時計の裏側から見ることの出来る小さな部品の装飾を大事に考えています。
そして、文字盤に世界で初となる江戸切子を組み込むことで日本の美しい伝統と精密機械を融合させた
ものづくりの思想を楽しめる作品を作っています。

 

 

料理人から時計の世界へ

料理をする牧原さん

 

昔から腕時計が大好きでした。職業として意識したのは進路の選択が迫った19歳の時。
料理人・保育士・時計師という3つの職業で迷いました。
当時はまだインターネットがあまり普及していない時代でしたので、
時計師の仕事に関する情報を得ることが出来ず、
「手に職を付けたい」という思いで料理の道へ進みました。

 

仕事をして貯めたお金で、憧れだったオメガの〝スピードマスター″という腕時計を買いました。
機械が見えるスケルトンの腕時計で、眺めれば眺めるほど
細部はどうなっているのか、どうやって作るんだろうと
飽くなき興味が沸いてきたのを覚えています。
8年ほど料理人として働いた27歳の時〝ヒコみづのジュエリーカレッジ″という
時計修理の専門学校の存在を知り、学びたい気持ちが抑えられなくなり入学しました。

 

 

在学中の思わぬ出来事

部品を磨く手元

 

入学する時は機械式時計の修理に興味を持っていました。
でも在学中、授業でスイスの独立時計師フィリップ・デュフォーさんを知り、
彼の仕事や作品を見てこんなに素晴らしい時計があるんだと胸が熱くなりました。

 

フィリップ・デュフォー氏

 

在学2年目、28歳の時でした。学校にテレビ局の取材が来て
学生に「憧れの時計職人はいますか?」というインタビューをしていました。
私は迷わずフィリップ・デュフォーさんだと答えました。
しばらくして、私と同じく彼に憧れている後輩と2人で
テレビ局の企画で「スイスに行ってフィリップ・デュフォーさんに弟子入りする」
という撮影のためにスイスに行けることになりました。

 

スイス フィリップ・デュフォー氏の工房にて

 

スイスでは2日間、彼の工房で過ごしました。
金属の固まりから微細なパーツを一つ一つ生み出してゆく行程や、
昔ながらの伝統的な部品の仕上げ方を目の前で見せてもらいました。
そして彼の時計に対する情熱を目の当たりにし、
時計作りとは何か?という大切な心得を教わりました。

 

小型の時計旋盤。金属を削り出す。

機械を操作する牧原さん

知人に探してもらった金属に穴を開ける機械。1940年代の日本製。


スイスで手に入れた中古の工具は大切に使い続けている。

 

フィリップ・デュフォーさんとの出会いがきっかけで
〝一から時計を作る″ということへの憧れが少しずつ大きくなっていきました。
3年のカリキュラムを終了し卒業してから、学校に一年間残り
オリジナルの時計を1本製作しました。
その後は自分のオリジナルブランドを立ち上げ製作に取り組んでいます。

 

 

工房が欲しかった

工房風景

 

オリジナルラインの製造に本格的に取り組むために工房が欲しいと思っていました。
以前は国分寺の賃貸住宅に住んでいましたが、金属を切り出すための機械音が
近隣の迷惑にならないように、別の神経を使わなければなりませんでした。

 

製作のための機械や工具はひとつひとつ探して手に入れたもの

 

また機械自体が重いので、賃貸住宅やマンションでは
思いっきり製作に取り組めず、一戸建の住宅を考えるように。

 

 

理想の田舎を探して

 

私たち夫婦は、田舎に住んで、のんびり家庭菜園を楽しみたいと思っていました。
都内へのアクセスが良く、身近な田舎といえば「埼玉」だと考え、
通勤先とお互いの実家へのアクセスを考えて、草加か越谷で土地を探すことにしました。
でも、実際に行ってみると想像していたのとは違い、どちらも都会でびっくりしました。

 

新しい村 市場遠景

新しい村 森の市場「結」

 

不動産屋さんにいろいろな土地を探してもらい、
東武動物公園駅まで来て、やっとイメージに合う街にたどりつきました。
特に新しい村が気に入りました。広々としたいい場所でのんびりできるし、
何より野菜が安くて、料理人魂がくすぐられました。

 

新しい村 売り物のパンジー 店先の山積み大根

 

インターネットで宮代町について調べてるうちに
「みやしろで暮らそっ」のサイトを知りました。
町の情報や移住者インタビューなどの特集を読み、
おもしろい人たちがいる町だなと思いました。
ここでなら、思いっきり作品の製作に取り組めるように感じて移住を決めました。

 

パソコン画面を見る二人

 

 

車を持たない生活スタイル

愛用の自転車

 

妻は都内の時計修理の会社に勤めていて、
私も週に数回、母校で後輩の指導をしています。
ここからだと都内に出るには不便しないし、
週末は二人一緒に自転車で買い物に出掛けて楽しんでいます。

車が必要であれば、近くでレンタカーが借りられるし、
重たい機材などを購入したいときは、幸手市のホームセンターまで自転車で行って、
2時間まで無料のトラックを借りて荷物を運んでいます。

 

食事を給仕する牧原さん パスタを盛りつけする手元

 

夕食は、妻より先に帰宅する私が作ります。
これから、庭にピザ窯を作ったり、家庭菜園を充実させたいです。
ゆくゆくは、妻に私の工房で時計製作のサポートをしてもらいながら
作品を製作していきたいと思っています。
これからもこの町を拠点にしてあちこち出掛けて
新しい発見を楽しみたいです。

 

テレビ台のしたのコレクション

テレビ台の中のには それぞれのお気に入りが並ぶ

 

宮代町での暮らしは?

 

【編集後記】
肉眼では見えない細かい装飾や、小さなねじ穴を磨く前と磨いた後を拡大鏡で見せて頂き
「すごーい!」「すごーい!」と驚きの声が止まりませんでした。
自分の目で見たキラリとした輝きは、望遠鏡で見つけた光る星のようでした。
途方もない時間をかけ、小さな部品からひとつひとつ丁寧に作り上げる牧原さんの腕時計は、まさに小さな宇宙。
なかなか知ることのできない機械式腕時計の世界を見せて頂き、本当に楽しかったです。
美味しいお料理もご馳走さまでした!また食べたいです。(よん)

 

<関連リンク>

DAIZOH MAKIHARA WATCHCRAFT JAPAN
新しい村
みやしろで暮らそっ

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